/偽義経/ヴィジュアル撮影 レポート 橋本じゅん篇

『偽義経冥界歌』では、2019年版の大阪公演、金沢公演、松本公演にのみ出演することになっている、橋本じゅんさん。今回の物語では、史実同様に義経とは深い関わりを持つ人物である弁慶役を演じます。ヴィジュアルとしては山伏姿で、明るい橙色系の鈴懸衣と袴にはヤツデの葉っぱ、天狗の葉団扇の模様が入っています。この柄入りのところが「なんだか、カワイイ……」となかなか好評の模様。頭には金色と黒の布を巻き、ちょっとゴージャス。その頭巾の形を丁寧に整えたら、撮影スタートです。

「よろしくお願いします!」と、まずは勢いよく挨拶をしてからフロア中央にスタンバイするじゅんさん。その姿には、アートディレクターの東學さん、カメラマンの渞忠之さんだけでなく、スタッフ一同が基本、みんな終始笑顔で見守っています。「まずは厳しい顔から、少しずつ悪い顔に」「レンズを睨んでみて」「何か、企んでいるような表情で」などの注文に、じゅんさんがひとつひとつ反応するたびにクスクスと、あちこちで笑い声がこぼれます。

「新感線の撮影でじゅんさんが、あまりしてこなかった格好かもね」と古参のスタッフが言うように、じゅんさんのこの山伏スタイル、決して濃くはしていないメイク、シリアスな表情……、いずれもが確かに新鮮なヴィジュアルです。手をグーに握った力強い立ち姿には、シャッター音に合わせてポーズを決めるごとに「カッコイイ!」との声が。いまだかつてないイメージの、一風変わった弁慶がここに誕生!

撮影途中に、決められた立ち位置から「一歩、下がって」と東さんから指示が飛ぶと、すかさず「顔の大きさの関係?」との鋭いツッコミが入ります。みんなでひとしきり笑ってから、「そうやなくて、あくまでも単に全体とのバランスの問題です!」と、東さん。キャストの顔写真を同じサイズで並べるデザインになるため、それで単に微調整が必要だった模様です。

そんな調子で笑い声が絶えないまま、順調にすべてのカットが撮影終了。早速、橋本じゅんさんにこの日の撮影のこと、この新作への想いなどを語っていただきました。

――今日の撮影の感想としては、いかがでしたか。

新感線のヴィジュアル撮影の日は長時間にわたることが多いので、いつもちょっと覚悟してくるんですけど。今日は、珍しくあっという間に撮り終わっていましたね。なんだか、まるで免許の証明写真を撮りに来たくらいの感覚ですぐに終了したので驚きました。

――今回の『偽義経冥界歌』では、弁慶役をと言われた時はどう思われましたか。

今までやったことがない役なので。そうか、弁慶か!と思いました。

――この物語の中では、いわゆる“弁慶”と言われて思い浮かべるイメージとはずいぶん違いますし、とても面白そうな立ち位置のようにも見えますね。

そうですね。しかも三宅(弘城)くんと僕がダブルキャストなんですから、光栄なことだと思います。三宅くんと二人で弁慶を分かち合いたいと思います。

――主演は生田斗真さんです。生田さんと再び共演することに関しては、いかがでしょうか。

『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』(2016年、以下『VBB』)以来、になりますね。また今度も、美しい斗真くんがきっと見られるんだろうな。そう思うと非常に、楽しみです。

――美しいだけでなく、オモシロもたっぷりありそうなキャラですし。

彼の芝居の振り幅もどんどん広がってきている気がします。“かっこいい”から、“真面目”から、“面白い”から。本当に、いい役者さんだなって思います。今回も『VBB』の時とは全然違う役柄ではありますが、真ん中にいてくれるととっても安心できる人でもあるので。今回も、一緒に思いっきり暴れたいです。

――橋本さとしさんと、一緒に舞台に立たれている姿がまたもや見られるのもうれしいです。

はい。だけど、さとしくんがいると僕、ついつい楽しくなっちゃうんですよね。いや本当に。この間の『メタルマクベス』disc1の時も、あれだけ「気をつけような」って言ってたのに、袖で楽しくしゃべっていたら、さとしを一瞬出トチリさせちゃって。今回は決してそんなことがないように、気をつけなきゃいけないなと思っています。

――では、お客様へお誘いのメッセージをいただけますか。

久しぶりに普通に上手と下手があるプロセニアムの劇場でやれるということが、まず、感慨深いところです。でも反面「あれ? 普通の劇場ってどうだったっけ?」みたいな感覚になってしまってもいるので、今はワクワクとドキドキが一緒にある感じはしますね。まあ、これは普通の劇場では当たり前のことではあるんですが、演じるこちら側とお客様とがお互いに“もたれかかっている”ような状態で一緒に力を合わせて作品を作っている気がするんです。でもここ1年半近くは劇場機構の関係で、そのお互いに“もたれかかる”感覚ではなく、“正対”している状態で。こちらが一方的に出力し、お客様が回りながらそれを受け止めていく感覚だったように思えるんです。もちろん、それはそれでエンターテインメント性としては非常に高かったですし、新感線にしか、あの劇場でしか、できない表現もたくさん実現できたとは思っているんですけどね。でもやはりプロセニアムの劇場の場合はその点で、演じる側とお客様と、両者の熱がいい意味でこもりやすいというか。今回はそこに戻れる、という感覚がありますね。お客様にそういう形で久しぶりに観ていただける、というのも楽しみのひとつだと思います。

――まずは大阪公演からの開幕というのも、劇団としては。

今回、それも大きいですよね。なんだか既に懐かしいです。特に大阪公演からのスタートというのは。僕としても、とてもうれしく思っています。

TEXT:田中里津子 撮影:田中亜紀

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