タイムカプセル館 第五回:よく似た二人
「神州無頼街」もいよいよ東京に帰って参りました。大阪で桜と出会い、静岡で富士山と出会い、東京では「いけふくろう」と出会うことでしょう。
雲に隠れた富士、雲のかかった富士、晴れた日の富士。富士市滞在中にいろんな富士山を見てきた我々ですが、一番多く見たのはこちらの富士かもしれません。劇場横の川縁から見た富士です。
タイトルは「市川家具と富士」。富士山が良く見えて良いのですが、いかんせん市川家具のインパクトがありすぎます。
さて、残り二回となったタイムカプセル。今回はよく似た二人をご紹介いたしましょう。逆木圭一郎さんと村木仁さんです。いえ、顔が似ているのではありません。まあ、顔だって似ていなくはないのですが、何と言っても体型がそっくりなんです。体型というか、シルエットが良く似ているので、後ろから見たりすると間違えたりします。新感線の「ザ・たっち」です。
まあ、稽古場や楽屋ではトレーニングウェアや髪型で区別が付くのですが、衣裳を着てカツラを被ってしまうと、ほらもう判らない。もちろん、その衣裳に見慣れれば簡単に区別が付けられるのですが、舞台稽古に入ったばかりの頃は見慣れていないから間違えちゃうんだよね~。そして間違えて話しかけちゃうんだよね~。
まあ、そんなことはいいのです。早速よく似た二人のカプセルを開けてみようじゃないですか。
まずは村木仁さんのカプセルから開けてみたいのですが、ここで衝撃の事実をお伝えしなくてはなりません。なんと、村木仁さんは劇団☆新感線の劇団員ではないのです!
ええと、知っていましたか。そうですか。確かに、ここ20年ほどの新感線作品のほとんどには出演しておりますが、厳密には劇団員ではないのです。所属事務所がヴィレッヂという劇団と同じ制作会社なので、新感線作品には欠かせない俳優として出演して頂いております。
そんな仁さんの本当の役名は「鍋振り三兵衛(なべふりさんべえ)」なのですが、実は元々の台本では「賽投げ三兵衛」でした。無頼街でサイコロ賭博をしているという設定だったのですが、いのうえさんが思いついた「チャーかハンか! チャーハン!」というギャグを言うためだけに、中華鍋でチャーハンを炒める人になったのです。役名が変わったのは稽古最終日。印刷直前だったパンフレットの原稿を差し替えたりして大変だったんですよ。
さて、仁さんはそんな紆余曲折のあった役柄をどのように予想していたのでしょうか。
次に逆木圭一郎さんのカプセルを開けたいところなのですが、おや? 逆木さんのカプセルがありませんよ?
そうなんです。実は逆木さんにだけ原稿をお願いするのを忘れていたのです。えぇ? 忘れてた、だとぅ?
逆木さんは劇団員ではありますが、実は個人事務所でしてヴィレッヂ所属ではないのです。そして、逆木さん以外の企画参加者は全員ヴィレッヂ所属なんですよ。二年前、私が気軽に「この企画を全員に回して原稿集めておいて」とヴィレッヂさんにお願いしてしまいましたが、まさかこんな落とし穴があったとは!
逆木さんの原稿がないと気がついた時には「今からでもお願いして書いてもらおうかな」とか思ったのですが、既に稽古は始まっているし、逆木さんも台本を読んでいます。ううむ。ここでウソついちゃうのも悔しいですからね。潔くNO IMAGEで行くことにしました。すみません。
ちなみに逆木さんの本当の役名は「お陀仏留蔵(おだぶつとめぞう)」です。予想してもらってないので当たってるも何もありませんが、これは当たらなかったと思います。特に年齢設定はね。
劇団員のカプセルがなくて、劇団員じゃない人のカプセルはある。という何とも不思議な状況になってしまいました。全くもって申し訳ありません。
さて、次回は最終回。こんなコトになってしまって尻すぼみ感もあるかもしれませんが、イヤイヤ! 大丈夫です! 次回は力作を書いてもらったあの二人にご登場頂きたいと思います。どうぞお楽しみに!